クリニックの院長、病院の人事担当者の皆様へ
看護師などスタッフを募集の際、どのような経路で採用していますか?
これまで「求人媒体や人材紹介により採用を」と考えてこられたと思います。
医療業界の求人では、無料の求人サービスでは採用が難しいことは、ご承知のことと思います。
採用方法を、大きく以下の3通りあげてみました。
①求人媒体(WEB・求人誌・チラシ)に掲載 :3か月で掲載料50万円以上
②人材紹介会社に依頼 :看護師1名につき手数料100万円以上
③スタッフに知人・友人で転職を考えている人がいないか聞いてみる
【リファラル採用】
特に③のスタッフの知人・友人から紹介を受ける手法を「リファラル採用」と言い、近年とても増えている採用手法です。
【リファラル採用のメリット】
すでに取り組まれているクリニック・病院も多いと思いますが、改めてメリットを考えてみましょう。
・応募者が、どんな職場なのかを事前に理解しているので、内定後の辞退がほとんどない
現スタッフから、職場の状況・雰囲気を聞いているため、応募要領と面接の内容に食い違いがない
・リファラル採用のスタッフは、定着率が高い
組織文化を現スタッフから聞いているので、ミスマッチが少ない
勤務開始後に何か問題が起きないよう、紹介したスタッフは声がけなど気を配る
また、職場内の疑問があれば、まずは紹介したスタッフに気軽に聞けるので、問題解決が早い
・採用コストを低減できる
紹介会社から看護師1名採用すると、紹介手数料100万円はかかります
私が注目したいのは、企業文化への親和性の高さです。
紹介する現スタッフが企業文化をよく理解していれば、そのスタッフからのリファラル採用は、おそらく最高の採用方法になるからです。
リファラル採用は信用で成り立っています。
紹介する現スタッフも、すぐに辞める方(辞めそうな方)を紹介しません。
現スタッフは職場をよく理解しているので、職場に合わない方を紹介しません。
また、紹介されたスタッフは、紹介してくれたスタッフに迷惑をかけるようなことはしません。
【リファラル採用のデメリット】
次にリファラル採用のデメリットを考えてみましょう。
・採用までに時間がかかること
紹介される側が「転職を検討するタイミング」でアプローチしなければなりませんので、常に連絡を取り合う必要があります。
・逆に自分のスタッフをリファラル採用されてしまうこともある
同様にリファラル採用を行っている職場に採用される可能性は、考えておかなければなりません。
・紹介の“きまり”を作る必要がある
紹介したい場合は、どのようなルートで応募や面談をすることになっていますか
紹介してくれたスタッフへの手当は規定や内規などに定めておいた方が良いでしょう
【リファラル採用が看護師採用に適する理由】
看護師採用にリファラル採用をお勧めする理由は以下の通り
・看護師のネットワークを利用
看護師は、資格を取るために大学の看護学部、看護専門学校を卒業します。そこで、知り合った同級生のネットワークを使わない手はないと思います。おそらく同じクラスの30名、同学年で言えばさらに多くの仲間がいます。同級生の中で、転職を考えている人、現在は看護師の仕事から離れている方は少なからずいるはずです。
【リファラル採用は多くの企業で導入済み】
少し前の調査結果ですが、エン・ジャパン株式会社の2017年調査によると501社中、リファラル採用を実施した企業は62%とのことです。
現在の実施率はもっと高くなっているでしょう。
また、同調査では9割の企業が今後も取り組む。未実施企業も3割が導入検討とあります。
【リファラル採用の注意点】
リファラル採用はメリットが多いのですが、注意点もあります。
大きな要素として2点です。
・制度が整備されているか
・スタッフ全員に周知されているか
制度が整備されていないと、どのような経路でスタッフが入職候補者を紹介したらよいかわかりません。
また、手当やお祝い金などの名目で「紹介のお礼」を現スタッフにお渡しするケースが多いので、金額含め、お渡しする方法も決めておく必要があります。
スタッフへのお礼が高額になる場合や、頻繁に紹介がある場合は「職業安定法」に抵触する恐れもありますので、お気を付けください。
【まとめ】
採用を検討する際は、スタッフからの紹介=リファラル採用を活用する。
企業文化にマッチした人を採用できるので、質の高い人材を採用しやすい。
リファラル採用には、時間がかかる。法律に抵触しないよう注意が必要。
リファラル採用の活用で、ぜひ良い人材を採用してください。